便利すぎる物流と、他人の命を賭けたトラックドライバーの仕事

トラックドライバーの激務

僕の友人に長距離トラックの運転手をしている人がいます。

見た目は、いかにもトラックの運転手っぽい風貌なのですが、先日、1年半ぶりに飯を食べる機会があったので色々と話を聞いてみました。

彼の希望で、できるだけ現状を伝えたいということもあり、今回こちらで記事にさせていただきました。

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ますます便利になる通販

現在、Amazonや楽天でショッピングをすると、沖縄以外は、翌日か翌々日には荷物が届きます。

しかも送料も安く、購入するものの価格や、ストアのキャンペーンによっては送料無料で全国に商品を届けてくれます。

これは非常に便利で、ますます通販を利用する人が増えてきています。

価格も、人件費がかからない分店舗で買うよりも安く、店舗で現物を見て、ネットで購入するというのが、ごく当たり前で、何も嫌らしい事ではなく、通常の消費活動の流れのようにもなっています。

そして、この通信販売業界の成長とともに、身を削って働いているのがトラックドライバーという仕事に就く人です。

トラックドライバーは稼げるというのは過去の話

このような通販商品を倉庫から各地域の配送センターに運んでいるのが、大手運送会社の下請けの、さらに孫請け、ひ孫請けの運送会社の大型トラックです。

そして、日本の運送会社のうち、9割以上が、この孫請け、ひ孫受けの運送会社だという事実があります。

通販会社は大量に荷物を出すことで1つの荷物単価を極限まで安くし、元請けの運送会社でさえ満足な利益が得れない状況下なので、自社でトラックを動かすよりも、下請けに仕事を回したほうが自社のトラックの燃料費や人件費をかけなくていい分利益が取れる。

同じように元請けの運送会社も同じような理由でさらにその下請けに仕事を振ります。

最終的に運送実務を行う三次請け、四次請けの運送会社の手元に入る運賃は、人件費と燃料費を考えるとマトモな利益が出ないか、場合によっては走らせればその分赤字になってしまうようなことも・・・

それでも、その仕事を断ってしまうと、利益の取れる仕事が入った時に回してもらなくなるし、一定のドライバーに給与を支払うためには、赤字であっても仕事を請けなければいけない。

そんな状況だから、ドライバーの給料も軒並下がり、30年前には月に60万〜70万円以上稼いでいたベテランドライバーも、現在は寝ずに働いても月給30万円程度が頭打ちというような状況です。

勤務時間は、その辺のブラック企業とは次元が違う

トラックドライバーは寝れない仕事です。

1日4時間しか寝れないとか、そんな次元ではなく、1日1〜2時間、それも小分けで足の延ばせないトラックの運転席で、ハンドルに足を上げて寝る事が多く、まともな睡眠すら撮る事ができません。

大型トラックには、運転席の後ろにベッドがありますが、ベッドで寝てしまうと寝過ごしてしまう可能性があるので、一定時間以上寝ると腰が痛くなり足が痺れるように、あえてハンドルに足を乗せて寝るようにしているそうです。

赤信号にひっかかればラッキーで、信号が赤の間にハンドルにもたれて20秒だけ寝る。
信号が変わっても起きれずに、後ろの車からのクラクションで覚醒するということはよくある話。

風呂にもまともに入れず、食事はラーメンかコンビニ弁当、足を伸ばして寝ることもでしずに、いつ寝落ちてもおかしくないような状況で、あれほど大きなトラックを走らせています。

ニュースでトラックの交通事故が起こるたびに、ドライバーのいい分が「ぼーっとしていた」「居眠り運転をしていた」となるのは、このような状況があるからです。

急げ、止まるな。でも事故もするな!

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そんな事、事故が起こってしまったら元も子もないのだから、時間に余裕を見てしっかりと寝ればいい。と思う方もいると思いますが、そもそも時間に余裕なんてありません。

荷主は運送会社にジャストインタイム(時間ちょうど)の到着を求めていますが、発送地でも、できるだけ当日の荷物をパンパンに積みたい為、間に合わなくなるぎりぎりまで荷物を詰めようと必死です。

また集配トラックが何らかの事情で積み込みセンターに到着するのが遅れても、荷物の降ろし時間は変わらない事が多いです。

その為、出発から到着までの時間がギリギリに設定されてしまい、一度出発したら息つく暇なく、走り続けなければなりません。

時間がない。急げ!

休憩なんてしている暇はないぞ!

でも、事故は起こすな!!

最終的にドライバーに要求されるのはコレです。

こんなの矛盾しています。

最悪の状況と隣り合わせ

僕は、よほど危険な仕事でもない限り「命までは取られない」と思う性格です。

不動産業の仕事をしていた時も、広告業の仕事をしていた時も、どんなミスをしても「命までは取られない」という風に思えたからこそ、思い切った営業ができたし、いろんな挑戦をすることができました。

しかし、トラックドライバーは、命をとられる可能性があり、人の命を奪ってしまう可能性もあります。

この僅かな給料で、家に帰れず、寝る暇もなく、トイレすら行きたい時に行けない状況で、これだけのリスクを背負ってしまっています。

法律でも、ドライバーの休憩時間などは細かく指定されていますが、守れている運送会社はごくわずかで、事故を起こして初めて法令違反が発覚している状況です。

交通事故のニュースなどでも、事故が起こった後に監査が入り、実は労働時間が守られていなかった、実は必要な研修を受けさせていなかったというような事が当たり前のように起こっています。

僕たちが通販を控えればいいわけでもない

このような状況になってしまった原因の一つに、便利すぎるくらいの通信販売があります。

とにかく安く買い、送料だって払わなくていい(ストア負担)と言ったような環境は、紛れもなく原因の一つです。

けど、もし仮に大規模な通販不買運動が起こったとしても、今度は物量が少なくなり、ドライバーにとって、体は楽になるかもしれないけど、今度は仕事量自体が減ってきてしまいます。

それだと何の解決にもなりません。

前項でも書きましたが、運送会社の法令違反が発覚するのも、事故が起こってから。

その時だけは、取り締まりを強化して何も起こしていない会社も監査対象になりますが、毎月のようにそのような監査が行われるわけでもありません。

僕はこの業界に特別詳しいわけではないのですが、やはり末端の運送会社を切り捨てるようなやり方ではなく、荷主や元請業者に対しての目を光らせて、無茶な運行をさせないように指導したり、罰則を設けるなどの政策が必要なんじゃないのかな・・・

と思います。

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